レース編み作家として活動する、つるさん。2020年からハンドメイド作品の販売サイトminneで「編み物工房 金の針」を出店している。

レースと聞くと、たいていカーテンやテーブルクロスをイメージする。しかし「金の針」は、編みあがったものを手芸用の糊で固めて立体にした作品が多い。

「レース編みって、とにかく平面作品が多いんです。テーブルクロスとかコースターとか。どれも私にはあまり使いどころがイメージできなくて……だから、レース編みの手法を使って別のものを作れないかなとやるうちに辿り着いたのが、今の作品なんです」

「金の針」で販売されているのは、レースで装飾した花瓶やテーブルランプ、クリスマスリース、掛け時計といったインテリア雑貨。曲面どころか球体の商品すらある。

作業の様子を見せてもらった。針も糸も、手袋やマフラーを編むのよりずっと細い。針は端が少し折り返されてフックのよう。針で糸を引っ掛けてループを作り、中に通す。それを繰り返すうちに、一本の線だった糸が面となって少しずつ広がっていく。

レース編みの特徴といえば、透かし模様。糸を使って花柄や雪の結晶柄、あるいはアラベスク(イスラム圏にあるモスクの壁面装飾)といった幾何学模様を緻密に描く。つるさんは、そんな繊細な透かし模様の世界に魅せられてレース編みをはじめた。

つるさんの主な仕事場は自宅と電車の中。彼女は会社員との兼業でレース編みをしていて、通勤電車で座れたときは貴重な作業時間になる。ときたま、乗り合わせた年配の女性から「私も若い頃よく編み物やったのよ」と声をかけられるらしい。

今の時代に電車で編み物なんて……とつるさんは言うが、聞けば作品のコンセプトは実に今どきだった。

例えば、売れ筋の花瓶。

近年、多くのフラワーショップがサブスク(月額制)でブーケを届けるサービスを開始し、売上を伸ばしている。小さなものであれば、リビングのちょっとしたスペースで楽しめる20センチほどのサイズだ。「金の針」はそんなブーケにピッタリなサイズの花瓶を数タイプ作った。「基本的に自分が欲しいなとか、こういうものがあればいいながスタートになっています」とのことだ。

そんなつるさんが使っている針は、よく見ると銀色。なぜ店名を「金の針」にしたのか聞くと、はにかみながら「銀よりも金の方が1番になれそうだから」と答えてくれた。

目指すはレース編みの世界のトップランナー。つるさんのこれからの活躍に目が離せない。

【「編み物工房 金の針」の販売サイト】

https://minne.com/@goldenneedle